私たちはこの春夏、特別なカーゴパンツを別注しました。
Nigel Cabournの代名詞ともいえる定番アイテム〈ARMY CARGO PANT〉。
アメリカ軍のM-43、ミリタリーパンツの名作M-51、そして英国陸軍のヴィンテージ要素をミックスしてデザインされたこのパンツは、ナイジェル・ケーボンの魅力を存分に表現した逸品です。
この別注企画は、自身もこのパンツの愛用者のひとりであるCROUKAバイヤーのリクエストからスタートしました。
地方のセレクトショップが別注を行うのは稀なことですが、私たちが誇るにふさわしい最高の一品が完成したと自負しています。
「ナイジェルさん。僕たちがオーダーしたアーミーカーゴパンツ、どうですか？」
CROUKAバイヤーの熱い思いから始まった今回の別注プロジェクト。どのような経緯でこの特別な依頼に至ったのか、弊社バイヤー柁原に聞いてみました。
「僕のクローゼットの定番アイテム〈ARMY CARGO PANT〉。どんなスタイルにもマッチするし、中太のシルエットと素材感が本当に気に入ってます。でも、唯一の難点があって、それは真夏には生地が厚すぎること。これはネガティブな意味ではなく、むしろ好きすぎて夏でも履きたいからこそ感じる悩みなんです。展示会でその思いをアウターリミッツ（Nigel Cabournの日本総代理店）の方に相談したところ、『そうだよね、夏はキツイよね！』と共感してもらえました。
そこから話が進み、探してもらったのが〈LIGHT MOLE SKIN〉という素材。これはすでに定番のパンツにも使われている素材で、その風合いや品質には信頼がありました。すぐにサンプルを依頼し、数カ月後に出来上がったサンプルを見て、『おぉ～！いいねぇ！』とスタッフと一緒に盛り上がりました(笑)。定番の〈ARMY CARGO PANT〉を履き込んでいるからこそ、この新素材〈LIGHT MOLE SKIN〉の滑らかな感触が際立ち、真夏でも快適に履けると確信しました。
ちなみに、届いたサンプルは【未洗い】の状態でした。製品は洗いをかけてから納品される想定でしたが、『このまま生の状態の方が良いんじゃない？』と。リジットデニムのように0から育てていくと、より愛着が湧くだろうなと、生産上の問題がなければ未洗いのままでバルク生産を行ってほしいと伝えたら快くOKをもらえました。こうして完成したのが、この〈ARMY CARGO PANT LIGHT MOLE SKIN〉です。
余談ですが、この生地は今後Nigel Cabournでは使われないそうで、最後の〈LIGHT MOLE SKIN〉はCROUKAの別注品としてしか手に入らないみたいです」
定番の〈ARMY CARGO PANT〉とCROUKA別注の〈ARMY CARGO PANT LIGHT MOLE SKIN〉を比較してみました。
デザインはまったく同じですが、素材が異なります。定番品にはコットンバックサテンが使用されており、このサテン地の裏側を表にすることで、丈夫で摩擦に強く、経年変化も楽しめます。
サテン地の裏側を表側にした生地で太番手の糸の割合が多い面を表側にすることで丈夫で摩擦に強く経年変化も楽しめます。
一方、別注は「1940年代に存在したモールスキンをターゲットに、細番手の糸を駆使したのがライトモールスキン。これを採用することでオールシーズン穿ける、柔らかい生地感と軽い穿き心地が魅力的な仕上がりとなっております」とNigel CabournのジャパンチーフデザイナーであるZUKIさんも太鼓判を押しています。
左側がCROUKA別注、右側が定番品。ライトモールスキンは細番手の糸を使用しているため、バックサテンに比べて光沢があり、きれいな表情が特徴です。定番品のバックサテン地はタフさが際立ち、洗いをかけたことで縫製部分にパッカリングが出ています。
30インチの重さを量ったところ、ライトモールスキンの方が約100g軽いという結果になりました。生地の厚さは手で触っただけではほとんど差が感じられませんが、ライトモールスキンは細番手の糸を使用しているため、サラッとした肌触りとなっています。
細かい部分の違いとして、フロントジッパーの形状が異なります。CROUKA別注はベル型、定番品は棒型のジッパーを採用しています。1930年代にアメリカで実在していたジッパーブランド「WALDES（ウォルディス）」を1953年創業の朝日ファスナーが復刻した国産ヴィンテージファスナーを採用しています。
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